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執筆者の写真kamakurabonz

12 鎌倉の、梅仕事を探して。

更新日:2022年1月30日

2016/05/26 今年も鎌倉に帰ってきたツバメたちが 軒先に巣をつくり、風を切るように飛んでいます。 夜には、もう滑川のいくつもの上流で 蛍が見られるようになりました。 思わず息をのむほど幻想的で、小さな光。 季節がしずかに変わっていて ああ時は流れているのだと、 そんなあたり前のことに気づかされます。 梅の実も大きくなりました。

          北鎌倉 光照寺の梅の木 梅は、昔から鎌倉の寺院や家庭、 農家で育てられてきました。 鎌倉を舞台にした漫画&映画「海街diary」の中でも 梅は印象的なモチーフの一つです。 人間だけでなく、生きものは手がかかる。 それは厄介で、なかなか思うようにいかないけれど だからこそ愛おしいのだと教えてくれる、庭の梅の木。


まるでその枝から摘んできたばかりのような 青い梅の実を象った和菓子に会いました。 北鎌倉「こまき」の「青梅」。 なめらかなこし餡を中に包んだ上生菓子です。 これ以上ないほどシンプルで美しい姿は、 瑞々しい青梅の実そのもの。 窓外のやわらかな風景を眺めながら 御抹茶と一緒に店内でいただくと 少しの間だけ時の流れを止められる気がします。

窓の外には円覚寺の白鷺池 菖蒲の花が咲いています。

「青梅」が作られる期間は短くて、 「こまき」の御菓子は、一期一会。季節ごと、行事ごと、 その日のお茶会の予定などによっても細やかに変わります。

鎌倉で30年ぶりに復活した 梅の御菓子もあります。 鶴岡八幡宮の東側にある創業111年の老舗 「旭屋本店」の「雪香梅」。


外見からは想像がつかないけれど、 青梅の甘露煮を、白餡が包んでいます。 皮にはハチミツが入っていて、甘味も爽やか。


「雪香梅」という名前に、 まっ白な雪の中でも花を咲かせていた 凛とした梅の姿を思い出します。

とても手間がかかるため しばらく途絶えていたこの御菓子は 五代目店主によって、今再び季節限定で 作られるようになりました。 梅を慈しみ、美味しくいただくために 手をかけ、心をかけた"梅仕事"いろいろ 御菓子の世界で見つけるたのしみは、つづきます。 梅の雨、"梅雨"の季節ももうすぐ。 長くつづく雨もまた、生きものたちのための 天の仕事...かもしれませんね。 ---------------------------------------------------------------- 『こまき』 鎌倉市山ノ内501 phone 0467-22-3316 10:00-16:30 火曜定休 『旭屋』 鎌倉市雪ノ下3-3-21 phone 0467-22-2622 fax 0467-22-2768 9:30-18:00 月曜定休(祝日の場合翌日)  五代目は、明治38年創業の「旭屋」の味や技を大事にしながら さまざまな新しい和菓子にも挑戦しています。 https://www.facebook.com/asahiya.honten/?fref=ts - photo&文 中尾京子



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