2015/02/18
今年の『初午の日』(立春以降の最初の午の日)は、2月11日でした。
この日は、お稲荷さんに縁が深く
鎌倉扇ガ谷のお寺「浄光明寺」でも
お稲荷さんの例祭が執り行われました...と...あれ、
...お稲荷さんって神社では?
鎌倉時代の建長3年(1251)に建立された泉谷山 浄光明寺の境内奥には、
江戸時代の文化7年(1810)〜当時の近隣住民の発願によって
京都の伏見稲荷から勧請(御霊を分霊してお祀り)したお稲荷さんが
あるのです。その名も『泉ヶ谷稲荷』。
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今でこそ、お寺と神社は分けられているけれど
あの鶴岡八幡宮だって、「鶴岡八幡宮寺」という名前で
明治以前は境内に真言宗のお寺があったように、
浄光明寺も、縁の人々にとってさまざまな思いを込めて「祈る場」であり、
地域の一大公共施設だったことをあらためて感じます。
コンコンコーン
午前11時。階段の下の境内から梵鐘が打ち鳴らされ
それに呼応するように、お稲荷さんの太鼓が打ち返されます。
そして、法螺貝の音が、下の方から聴こえてきます。
法螺貝を吹いているのは浄光明寺のご住職。石段を上ってお稲荷さんへ。
鳥居の前で、
「おんそわか...」真言宗らしい、不思議な音色のお経が始まりました。
中空に文字を描くような所作...お経...鉢と呼ばれるシンバルのような
楽器が鳴らされ、「例祭祭文」(例祭の由来など)が読み上げられます。
「神仏分離の苦海を越え...」 歌うような旋律とともに、肩越しにきれいな散華が数枚投じられ、 運良く近くに舞ってきた参拝者が拾います。(いいなあーと皆内心思う瞬間です♪) ご住職の透明な声で般若心経がはじまると、参拝者のお詣りです。 鳥居をくぐり、まずお寺式にお焼香、そのまま神社式に二礼二拍手〜 という、神仏の境目を超えた祈りの姿。 一人ずつ参拝を終えて石段を下りくると 豚汁と焼き鳥etc.が振る舞われてまた、カンゲキ♪
さらにこの日は特別に、
御本尊の阿弥陀如来を中心にした阿弥陀三尊像
(左から勢至菩薩・阿弥陀如来・観音菩薩)を拝顔することができました。美しい!
お寺の方の解説によると、
阿弥陀如来さまは檜の寄せ木造りで、鎌倉時代の作。
時代の荒波の中で、浄光明寺も何度も火事に遭ったけれど
そのたび救い出されてきた仏さま。
京都にはない、鎌倉だけの「土紋」という手法で作られ
今では無垢の木の色しかないけれど、元々は金色に花柄の衣をまとった
華やかな御姿だったそうです。(想像してみます〜)
しかも江戸時代になって「宝冠」を乗せられている。
冠をかぶった阿弥陀さまなんて、珍しいですね。
境内は、奥へ進むほど、高く高く登るような設計で、
さらにどんどん上ると
御堂の屋根の向こうには海が見えてきます。
自然の山肌を削り、穴を開けてつくったやぐらの中には
「700年間座りっぱなし」というお地蔵さまが いらっしゃり、
さらに最奥の高台へ上ると、視界が開けてあたり一面が
見張らせます。
この起伏に満ちた境内に、何百年もの間
数えきれない人々の信仰が、織り込まれてきたのかなあと思うと
感慨深い...
明るい光に包まれた境内は、梅の花も咲き始め
早春の訪れをいっぱいに感じさせてくれました。
大三輪住職、どうもありがとうございました。 またお話を聞かせてくださいね。
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